『ウィッチャー 4』の開発が本格化したというニュースを見て、3をプレイしたときの興奮と感動が蘇ってきたので、ちょっと語りたくなりました。
僕のゲーマー人生における新たな一歩は、PS4の購入と共に始まった。
当時は役者の活動で忙しくゲームに触れられない期間が長かったので、僕のゲーム熱はかなり高まっていた。役者活動に区切りをつけたとき、もういい、ゲームやろう!と溜まったリビドーを解放し、新宿のビックカメラでPS4を買った。まっすぐゲームフロアのカウンターに向かい、「スミマセン、PS4、本体、クダサイ」とちょっとカタコトになったのを覚えている。『ウィッチャー3:ワイルドハント』のパッケージが目に入ったのはそのときだ。

カウンターにおすすめ品として並んでいたそれは、何の根拠もなく僕に「これだ」と思わせた。一目でわかった、これは骨太なファンタジー作品だ。パッケージの男性の面構えはあまりにシブく、傷だらけの姿は戦いの熾烈さを物語っている。身に付けている武具のデザインは世界観の堅実さを雄弁に語っている。「わかってんのかい?これは浮ついたお気楽ファンタジーじゃないぜ、坊や」と語りかけてくるようだった。
初のハードでプレイするゲームは、やはり初の作品がいい。それも骨太でやりごたえのありそうな、世界にどっぷりハマれるゲームなら尚更だ。「これもください!」今度は流暢に言えた。「今買ったPS4のポイント使います」も言えた。
僕は競歩ばりの早歩きで家路についた。これから自分がどれほどの冒険を紡ぎ出すのか、その時は想像もつかなかった。そう、『ウィッチャー3』との出会いは、まさに運命的なものだった。初のハードで遊ぶ初のゲーム。興奮はまさに二乗、いや、それ以上だった。
主人公がカッコ良すぎる
プレイしてまず思ったことは、「ゲラルトがカッコ良すぎる」ということだ。シニカルで冷静、淡々としているのにとんでもなく色気がある。CVが山路和弘さんというのも最高だ(ちなみに山路さんの外見はゲラルトまんまである)。
ゲラルトはモンスターハンターとして頼りにされながらも、魔術的に肉体を改造された異端者でもあることから人々に忌避される存在でもある。もう一度言う。魔術的に、肉体を改造された、異端者なのだ。何のために改造をしたのか?それは人々に害をなすモンスターを狩るためだ。皮肉にも、人々を守るために身につけた力のせいで、人々から忌避されている!のだ!デビルマンの構図だ。これはシブすぎる。これはファンタジーの皮を被ったハードボイルドだ。
世界は美しく、生き物はグロい
そしてゲームの世界は、息を呑むほど美しかった。夕暮れ時のヴェレンの沼地、霧に包まれたスケリッジの岬、活気に満ちたノヴィグラドの市場、どこに行っても「ひゃ〜、すっごいなあ」と感動しっぱなしだった。僕が初めてPS4に触れるということもあったと思う。
しかしその反面、このゲームはゴア表現が多くて困った。序盤に立ち寄った村の入り口で、縛り首にされた人々がぶら下がってるのを見た時は、思わず目を背けてしまった。他にもモンスターにトドメを刺したら体を両断してしまったり、いちいち心臓に悪い。そもそもモンスター自体のデザインが、なんというか、精神的に”クる”のだ。
世界の美しさに「ひゃ〜」と言い、生き物のグロさに「きっつ…」と呟く。これが『ウィッチャー3』の世界なのだ。アダルトな表現もそこかしこに散りばめられ、いろんな意味で「大人の世界」に満ちたゲームだった。最新ハードで体験する、これぞ大人のゲームという悦び。そんな瞬間が、ほろ苦く、そして甘美だった。
人生を思わせるストーリー
そしてストーリー。ゲラルトは常に人々と養女のシリを守るための戦っている。人々からは「魔物を倒すのは魔物みたいなやつに任せとけ」くらいに言われたりする。しかしゲラルトは自分の運命を受け入れ、黙々と仕事をこなす。
そう、ストーリー全体に漂っているのは、ただの善対悪じゃなくて、登場人物たちの葛藤や倫理的な矛盾。それらがリアルに描かれていて、「そうそう、人生って、結構複雑なんだよね…」と思わせる。献身的なゲラルトの気持ちも、つれない態度をとる村人の気持ちもわかってしまうのだ。クエストのたびに、いちいち切なくなった。
ウィッチャー3はゲームを超えた『体験』だった
しかし、ゲームを進めていくと、そのシビアな世界観に心を撃ち抜かれる。ゲラルトを操りながら「俺は孤高のウィッチャー」と自分もその気になったり、「ゲラルトさん、かっけぇな〜」と映画を見ているような気分になったり、どんどん引き込まれるのだ。そして難易度と操作感の絶妙さに、死にまくりながらも楽しんでしまう。
『ウィッチャー3』はただのゲームではなく、深く、壮大な物語を体験するための手段であるとともに、綺麗事だけじゃやっていけない大人の世界も教えてくれた。新ハードの思い出と相まって、ゲームを超えた冒険を味わえたんだと思う。


