ズブの素人が写真展に参加させていただいた。
写真を始めたのは知り合いから「試しにやってみたら?」と軽いノリで誘われたのがきっかけ。それまでは写真にまったく興味が無く、「カメラのゴツゴツしたフォルムってカッコいいな〜」と思う程度だった。
そんな自分が何も分からないまま写真の勉強をスタートして3ヶ月。なんやかんやで合同写真展を開くこととなった。滅多にないチャンスをいただけて、ありがたい限りです。
やるしかないという状況
3ヵ月。これは素人がセミプロになるには充分な期間、なワケがない。例えば村人Aに棒切れを渡して、3ヶ月ブンブン素振りをさせたとする。その村人が魔王討伐に向かったところで村を出た瞬間スライムにボコボコにされるだろう。カメラのド素人が3ヶ月努力して出来上がるのは、『3ヶ月頑張ったド素人』でしかない。
しかし展参加すると決まった以上やるしかない。日取りもテーマも、もう決められているのだ。期限と目標はすでに設定されていて、あとは行動するしかない。自信の有無なんか関係ないのだ。
この追い込まれ感、プレッシャー。普段避けたいものが自分にすごいエネルギーを与えたという実感がある。正直しんどい。しんどかったし、辛かった。でもだからこそ、早く楽になりたいという思いが生まれ、それが行動力を生んだのだと思う。
低レベル、貧弱装備でも冒険に出た
写真を撮るために、ひとりで水族館に行ったりした。水族館なんて普段なら行かないし、ましてやひとりでなんて絶対選択肢に挙がらない場所だ。

大量のカップルと家族連れに囲まれ、込み上げる孤独感と焦燥感。思考回路はショート寸前だった。しかし水槽を前に黙々とカメラを構え「僕は孤高のカメラマン。雑音に惑わされず、瞬間を切り取るのだ」という中二病を発揮することで乗り切った。

動いている人を撮りたくて、バスケ好きの友人に協力もしてもらったりもした。自分の写真の腕なんて趣味以下のものだ。「カッコよく撮ってやるよ」なんて言えるわけもなく「あのぉ〜、今ちょっと写真やっててさ……、よかったら、と、撮らせてくれない?」とオドオドしながら頼んだら、快く引き受けてくれた。

この写真のために、通算100回ほど飛んでもらった。どんどん落ちていく彼のジャンプ力。カメラの連射機能をちゃんと使っていれば、飛ぶ回数は10分の1で済んだかもしれない。正直ゴメン。
腕もなくセンスもなくカメラは型落ち。でも普段行かないところに行き、人と普段とは違う関わり方をした。追い込まれたからこそできたことだ。写真の出来とは関係なく、単純に楽しかった。
ゴール設定って本当に大事
もともと写真にまったく興味なしだった僕が、今カメラを手に走り回っている。

自分でも不思議だと思う。以前なら想像すらしなかったことだ。
たとえ興味がないものであっても、必要に迫られたら人は行動する。普段と違う行動をすると当然新しい発見があり、自分の枠とか可能性みたいなものが広がる感覚がある。
展示会というゴールが無かったら、モチベーションを徐々に減らしながらダラダラと学んだ気になって、やがてフェードアウトしていたと思う。期限と目標を設定するだけでこんなにも行動できるんだ、と我ながら驚きを感じている。
期限や目標を自分で決められないときは、こういったコミュニティに属することが大事だ。知り合いから誘われたら思い切って乗るのもいいし、自分で探してみて良さそうだと思ったら飛びつくのもいい。マンネリな日常に風穴を開けるには、勇気とチャレンジが一番だと思う。
今後自分が写真を続けるかどうかはわからない。でも少なくとも今回のことは、僕にとても多くのものを残してくれた。「思い切ってやってみたら、意外となんでもできるものだ」という感覚。成功体験とはまた違う”自分を見直せる体験”ができたことで、「自分は今後何をやってもまあまあ大丈夫」という強みを手に入れられたんだと思う。


